説教ノート No.22 2023.7.9
聖書箇所 ローマ人への手紙8章26節~39節
■序 論
聖化の途上にある私たちの日々の生活において、私たちが未だ肉の制約の中にあり、信仰の未完成ゆえに様々な苦しみや葛藤、悲しみや試練を経験するものである。しかし、どの様な時にも、どの様な状況においても、信仰の完成、栄化の希望を抱いて前に進むことができるのを忘れてはならない。続くこの段落では、聖霊なる神が私たちの内に働いて、助け、とりなし、勝利にまで導かれることを学び確認したい。信仰勝利への確証を得よう。
■本論1 聖霊の助け (8:26-30)
先ずパウロは、キリストと苦難を共にして生きるキリスト者に対する神の守りと助けについて語り、私たちの信仰を励ましている。それは聖霊の助けについてである。段落冒頭に「同じように御霊も、弱い私たちを助けてくださいます。」と力強く宣言されているが、これにはどのような意味があるのだろうか。興味深いことに、ギリシア語の「助け」は「共に」「代わって」「取る」の三語からなる複合語である。つまり、聖霊は私たちと共にいて下さり、弱い私に代わって、苦難の中から取り上げて下さるという意味を持つのである。何と大きな励ましと、慰めと、力ではないだろうか。また加えて私たちに聖霊の「とりなし」が与えられていることも驚きである。「とりなす」は「代わって」「懇願する」の複合語であるが、聖霊は私たちが祈れない時、御心が分からない時に、私たちに代わって父なる神に必要を懇願して下さるというのである。パウロはこの事実のゆえに「すべてのことがともに働いて益となる」(28節)と明言している。私たちがこの解釈の前提に立って生きるとき、現実から逃げず、事実を受容しつつ、積極的に生きることができるのではないだろうか。私たちはキリストを告白した時からこの時まで聖霊と共にあり、その助けと導きをいただいて来たことを感謝してさらに前に進みたい。
■本論2 神が見方であるなら (8:31-34)
さらにパウロは私たちが信仰の勝利者となることの裏付けについて重ねて宣言している。それは31節にある「神が私たちの味方である」という事実である。これは私たちにとってかけがえのないことであり、どんな時でも、どんな状況でも、神が私たちの側に立って下さるという意味である。それゆえ、義とされ、神の子とされているキリスト者に対して何者も敵対することはできない。そして、パウロは、神が私たちの味方になって下さることをイエス・キリストの十字架と復活によって表して下さっていると説明している。たとえサタンが巧妙な方法で私たちを罪に誘い、罠に陥れようとしても、私たちは主イエスのとりなしによって守られ、滅びから義の道に導かれるのである。ヘブル7:25に「したがってイエスは、いつも生きていて、彼らのためにとりなしをしておられるので、ご自分によって神に近づく人々を完全に救うことがおできになります。」とあるように、今や私たちも神の助けとキリストのとりなしによってすでに勝利が約束されていることを感謝しようではないか。
■本論3 圧倒的な勝利へ (8:35-39)
最後の段落では、パウロによる勝利の讃美が高らかに歌われている。彼はたとえ「苦難、迫害、飢え、裸、危険、剣」に直面し、それがまるで「ほふられる羊」のようだとしても、それらの苦しみは信じる者をキリストの愛から引き離すことは決して出来ないと言い切っている。そして「しかし、これらすべてにおいても、私たちを愛してくださった方によって、私たちは圧倒的な勝利者です。」(37節)と語る確信に満ちたパウロの姿が見えるようである。さらにこの勝利の賛歌は、キリスト者の個人的関係や体験にとどまることなく、全ての被造物との関係における壮大なスケールで謳われていることにも驚かされることである。そして、彼は「どんな被造物も、私たちの主キリスト・イエスにある神の愛から、私たちを引き離すことはできません。」(39)と言い切っている。
何と確信に満ちた。何と喜びに満ち溢れた告白ではないだろうか。翻って私たちが自分自身に目を向けて思いを巡らしてみると何が見えて来るだろうか。愛することにも、信じることにも不完全な者であっても、私たちに対する神の完全な愛のゆえに、どの様な試練や困難においても、私たちは勝ち得て余りある完全な勝利者とされていることを再度確信しようではないか。聖霊の力を受けて勇気を奮い立たせよう。ハレルヤ。
■結 論
今、あなたが試練や困難、そして、誘惑と戦っているとしても、あなたは安心・平安を失ってはならない。あきらめてはならない。勇気を失ってはならない。そして、何者によっても引き離されることのないキリストにある神の愛に注目しよう。それがあなたの力となり、圧倒的な勝利へと導くのである。聖霊の助けとキリストのとりなしに信頼してさらに前進しよう。私たちは圧倒的な勝利者である。
■御言葉に対する応答の祈り
①聖霊の助けとキリストのとりなしを感謝しよう。
②神の愛の力による勝利を確信しよう。
■次回説教
聖書箇所 ローマ9:1~18
説教題 「愛する者のために」
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