「信仰に堅く立つ」
- mkbible
- 2024年7月7日
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説教ノート No.40 2024.7.7
聖書箇所 ローマ人への手紙16章17節~27節
■序 論
パウロはこの手紙を結ぶにあたって、教会と信徒たちの信仰がどの様な状況においても信仰義認、即ち恵みの信仰に堅く立ち続けることを心から願った。その根拠は教会の礎であり、かしらであるイエス・キリストにしっかりと連なることであると記し、共に確認しようとしたのである。教会史を振り返って見ると、この後ローマ教会は国家権力による厳しい迫害を受ける試練の中を通ることになるが、その信仰の火は消え去ることはなかった。
■本論1 善にさとく、悪にうとく (16:17-20)
先ずパウロは「兄弟たち」と呼びかけ「あなたがたの学んだ教えにそむいて、分裂とつまずきを引き起こす人たちを警戒してください。彼らから遠ざかりなさい。」と勧告している。これが十字架の福音を水増しするユダヤ主義者であるのか、キリストの実在を否定するグノーシス主義者を指すのかは特定することは出来ない。この時、ローマ教会にこの様な深刻な混乱があったわけではないが、パウロが滞在するコリントおいて教会が実際に直面している分裂や世俗化の影響を受けないようにと願ったことは確かであろう。いつの時代においても教会は内外の様々な課題と向き合い、それを乗り越えなければならない。また戦うべき真の敵を見極め、それに勝利しなければならない。私たちはプロテスタント(抵抗者)であることを失ってはならない。またパウロは「あなたがたの従順はすべての人に知られているので、私はあなたがたのことを喜んでいます。」とローマ教会の従順を感謝している。この従順は信仰によるキリストへの従順のことであり、さらに「善にさとく、悪にうとくある」ことをも勧めている。私たちも信仰の判断力を得、鳩のように素直に、蛇のように聡く生きる者となりたい。
■本論2 同労者からの挨拶 (16:21-23)
この最終章、これまでパウロは自分の個人的な挨拶を一人ひとりに語ってきたが、ここには彼の片腕として活躍したテモテやコリント教会の人々からの挨拶が記されている。テモテは第二次伝道旅行からパウロの良き協力者として働き、この手紙をパウロが執筆していた時もコリント教会を助けるために同行していたと思われる。若きテモテもローマ教会に対する思いはパウロと同じものであった。続くルキオ、ヤソン、ソシパテロは「同胞」と紹介されていることからユダヤ人であり、テルティオはこの手紙の口述筆記者である。ガイオはパウロがコリントで洗礼を授けた数少ない内の一人であり教会堂の大家として協力した人物。エラストは市の収入役で社会的にかなり地位の高い人物、クアルトについては「兄弟」とあるものの不詳である。ここに名前が列挙された8人においても、遠くローマ教会の信徒たちを主にある兄弟姉妹と思い、また福音の同労者として固く結び合わされていることを強く感じていたのである。何と麗しい交流(コイノニア)と一体性(エクレシア)ではないだろうか。この互いのとりなしの祈りと励ましを力として、神の御業が漸進していくことを私たちの模範として覚えたい。
■本論3 頌栄-堅く立つ- (16:24-27)
最後に、パウロはローマ教会に対する万感の思いを胸に「頌栄」の言葉を語っている。それは教会の祝福を願い、全ての栄光を神に帰す賛美と言えよう。その内容は、①これまで旧約の時代において示されて来たメシア預言がイエス・キリストにおいて成就し、ユダヤ人から異邦人まで全ての民族に明らかにされたことへの感謝。②神がこの福音によって信仰に立つ「あなたがた(私たち)を堅く立たせて下さる」(26節)ことへの感謝。注目すべきは、この「堅く立たせる」の語には「力づける」「建て上げる」の意味があり、つまり私たちが信仰によって死と滅びから救われ、神が私たちの「信仰」と「救い」を堅持して下さることを表していると言えよう。③結びの言葉は「知恵に富む唯一の神に、イエス・キリストによって、御栄えがとこしえまでありますように。アーメン。」とあるように、知恵に富む唯一の神に栄光があるようにと賛美を捧げている。パウロは今、筆を置こうとするこの時、救いの源泉が神の側にあることを確認し、全ての栄光を神に帰する信仰の告白をしたのである。私たちの生活も常に神を賛美し、神に栄光を帰するものでありたい。それは即ち我らの礼拝の歩みである。
■結 論
ここにパウロは祈りをもって筆を置く。ローマの聖徒たち、そして、全ての主にある兄姉の信仰が、教理と実践の両面から成長・成熟し、いよいよ神の栄光を現す器として聖化の途上を前進するよう、とりなし、期待するのである。ローマ帝国下、ローマ教会がこの書を手にした後激しい迫害が続いた。しかし、彼らの信仰は揺るがず、やがて皇帝をキリストに導いたことも歴史の事実として私たちの知るところである。
■御言葉に対する応答の祈り
①御言葉の教理に裏付けされた信仰を養おう。
②御言葉を行うことのできる実践的信仰へと成長しよう。
■次回説教
聖書箇所
説教題
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