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「キリストの弟子として」

説教ノート No.16                    2020.11.15 

聖書箇所 使徒の働き9章19節~31節


序 論

 復活の主イエスの光に目を閉ざされたサウロは心砕かれて信仰の目が開かれた。新生の経験をした彼は「パウロ」の名を与えられ直ちにキリストの弟子となり、福音の宣教に自らの生涯を献げる。また新約聖書の多くの書簡を著作する神の器としても用いられることになる。同様に信仰によって救われた者の全てがキリストの弟子とされていることを覚えたい。私たちも・・。


本論1 福音の証し人に変えられたサウロ (9:19-25)

サウロはアナニアのとりなしによって目が開かれ洗礼を受けた。迫害者サウロは「パウロ(最も小さな者)」とされ直ちにダマスコの会堂で「イエスは神の子」であることを宣べ伝えた。劇的な転換であるが、まさに聖霊の御業、そして聖霊に満たされての働きと言えよう。パウロの過去を知っている人々は、彼が語る言葉を聞いて非常に驚いた。中でもダマスコ在住のユダヤ人は、ガマリエル門下のパリサイ人として聖書に精通したサウロが、その豊富な聖書知識をもってイエスがキリストであることを弁明すると、非常な驚きを感じ、さらに大きく動揺してうろたえたに違いない。彼らにとっては「強き迫害者サウロ」によって自分たちの立場とプライドが支えられていたのが、強者の側に立つ社会的立場の基盤が足元から崩されたからである。さらにこの福音を力強く語るパウロに対してユダヤ人たちによって暗殺の陰謀が企てられるが、彼には逃れの道が必ず開かれていく。


本論2 バルナバを介し教会に受け入れられたサウロ (9:26-30)

 サウロはエルサレムに向かった。キリストの教会の交わりに加えられることを願ってのことである。しかし、多くの弟子たちはパウロに対して恐れを持ち、そのキリストとの出会い、悔い改め、信仰告白のことを直ちに信じることは出来なかった。当然のことである。しかし、ここで登場するのが「慰めの子」と呼ばれる「バルナバ」である。彼はパウロが教会に受け入れられるために仲介に立ち、ダマスコにおける出来事の全てを丁寧に兄弟姉妹に説明し、迫害者サウロが福音の証人パウロに造り変えられたことを弁明、弁護した。教会の信任厚いバルナバの言葉に疑う者はいなかった。サウロが使徒パウロとなるためのバルナバの働きは大きい。私たちは、彼の人を受け入れ、人を生かそうとする態度と視点の幅の広さにその信仰の成熟度を見ることが出来る。私たちも良き模範としたいものである。一方、パウロはエルサレムにおいても大胆に福音を語った。特に自分と同じ背景にあるヘレニストユダヤ人を対象としたが、人々の敵意は強まり伝道は当初から困難を極めるものであった。


本論3 さらなる前進 (9:31)

 次に、パウロを受け入れた教会の姿が記されている。この段落が「こうして」という接続詞で始まる意味は、試練や喜び、経験する全てのことを益に変えて聖霊が教会を建て上げられることを示していると言えよう。教会が建て上げられる場は「全地」であり、教会は内に①「平安」を保ち、②「神への恐れ」(愛に裏打ちされた畏敬)を持ち、③「聖霊の励まし」を与えられて築き上げられる。この「築き上げる」は、堅固な土台の上に様々な資材を組み合わせて家を建てる行為を意味し、まさにエペソ書4章16節に記された教会形成の本質を表していると言えよう。その結果、多くの魂が救いへと導かれ、みからだなる教会へ結び合わされ、そこにキリストのいのちが通い合い、真の教会エクレシアが存在するようになるのである。私たちはこの教会の本質を見失うことなく、霊的にも、人的にも、組織的にも、経済的にも整えられて成長・成熟へと向かいたい。そして、内にはキリストの愛を実現し、外には福音を宣べ伝える「教会」となりたいものである。そして、このことの推進力の源泉は聖霊にあり、教会の業は実を結ぶのである。これが私たちの教会論である。


結 論

 迫害者サウロがキリストの弟子に造り変えられたことを契機に教会はさらに一歩前進した。一人が「キリストの弟子」に徹する時、教会の成長と福音の前進がなされることを教えられた。私たちも摂理のうちに結び合わされたこの南柏聖書教会を感謝し、誇りとし、互いにキリストの愛を実現する者となりたい。また御言葉に聴き、聖霊に励まされて「キリストの弟子」として生きて行こうではないか。

 

御言葉に対する応答の祈り

①キリストの弟子として成長できるように。

②教会形成の祝福のため。

 

次回説教

 聖書箇所 使徒9:32~43

 説教題 「あなたを癒す神」


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