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「信仰による判断」

  • mkbible
  • 7月31日
  • 読了時間: 4分

説教ノート No.19                     2025.7.27


聖書箇所 コリント人への手紙第一 7章25~40節


序 論

 パウロはこれまで「結婚」と「独身」そして「離婚」を例にあげてキリスト者の生き方について教えてきた。そして、さらにその倫理観に終末的意味を持たせながら、キリスト者の信仰生活においてどの様な判断基準によって物事を選択し、生きて行くのかを示そうとしている。私たちも自分が生き、生活している時代に終末的視点を見失うことなく、現実の社会に生き、日常の生活を営む者でありたい。


本論1 時は縮まって-終末的倫理観から- (7:25-31)

 先ずパウロは、コリント教会の質問に応える形で、独身者と既婚者の双方に対してそのあり方の判断を語っている。それは独身者が結婚をせずにそのままの状態にとどまり、既婚者も離婚をせずにいるようにということである。一読すると無理難題の押し付けのようであるが慎重にその真意を読み取る必要がある。それを解く鍵は「 差し迫っている危機のゆえに」(7:26)と「時は短くなっています。」(7:29)という二つの表現である。これはコリント教会がやがて近い将来に迫害等によって困難を経験するであろう予測と、イエス・キリストの再臨が近づいているという終末的意味が重なっていると言えよう。続く29節から31節まで五つの逆説的価値観を語り、終末への自覚とその判断を教えようとしている。つまり「人間中心」から「神中心」の価値判断へと導いているのである。特に「この世の有様は過ぎ去るからです。」(7:31)という言葉は単なる「無常観」ではなく、不変なる神とその御言葉への確かな信頼を強調するものである。


本論2 心を配る (7:32-35)

 さらにパウロは、コリント教会の兄姉たちに「あなたがたが思い煩わないように」(7:32)と筆を進めている。これは35節の「あなたがた自身の益のため・・・あなたがたが品位ある生活を送って、ひたすら主に奉仕できるようになるためです。」(7:35)という結論に結び付けて語られた言葉である。つまり終末の時代に虚ろに過ぎ去る世の有様の中に埋没しないで、聖化の途上を常に成熟に向けて生活し、キリストに仕える者となれとの勧めと言えよう。そのためには独身・既婚を問わず「主のことに心を配る」ことが大切であると、信仰と価値観の優先順位を示している。これは私たちにも大切な適用があり、私たちのなす全てのことがキリストの心にかなっているかを判断し、心を配って生活するが必要なのである。この情報過多と複雑な利害関係の中で、様々な事に心を奪われ、感情が乱れることも避けられない私たちであっても、「主のことに心を配る」ことのできる者でありたい。


本論3  ただ主にあって (7:36-40)

 最後にパウロは、独身の女性と未亡人の結婚に関する具体的アドバイスを語って結ぼうとしている。第一に、独身の女性はたとえ心情的自責の念や、条件の良し悪しに関わらず結婚への願いが強くあるなら不要な罪意識に縛られることなく信仰をもって結婚するようにと励ましている。結婚は神の祝福である。第二のことは「独身」を貫くこととの積極的意味の確認であり、それは主に専念できる生き方を選択したのであり「りっぱです」と賞賛している。第三は未亡人の再婚に関してで、そこには「ただし、主にある結婚に限ります。」(7:39)との限定が語られている。これも無理難題な制約を課するものではなく、再婚による人生の次のステージを信仰と神への信頼によって踏み出すべしというエールであろう。いずれにせよ各々の生き方において、主に心を配って専心し、神の栄光のためという人間本来の目的に向かうことが期待されていると言えよう。


結 論

 私たちに問われているのは「信仰による判断」である。多様な価値観、しかも終末の色彩濃い時代に生きる私たちも、霊に目覚め主に専心していくことができるように祈りたい。そして「神の栄光のために」という人生最大の目的に、自分の賜物を用いて向かっていきたい。「私も神の御霊をいただいていると思い ます。」(7:40)というパウロの体験とその告白は、私たちのものでもある。

御言葉に対する応答の祈り

①終末の自覚のもとに主に専心できるよう。

②自分の賜物に感謝しつつ神の栄光のために生きよう。

次回説教

 聖書箇所 Ⅰコリント8:1~6

 説教題  知識と、愛と」 


 
 
 

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