説教ノート No.6 2024.11.3
聖書箇所 コリント人への手紙第一3章1節~9節
■序 論
信仰の特長の一つは、完成に向けた聖化の途上において「成長」することである。しかし、これは自動的に得られるものではなく、植物と同様に良い条件が満たされていなければいつまでたっても成長することはなく、かえって信仰の枯渇が始まることになる。私たちの信仰の成長・成熟、そして自立への鍵は何かを聖書から学ぼう。
■本論1 肉に属する人、信仰の幼子 (3:1-2)
先ずパウロは、コリント教会の人々に「兄弟たちよ」と呼びかけながら彼らの霊的状態の自覚を促そうとしている。それは残念ながら「肉に属する者」「信仰の幼子」という状態であった。彼らはキリスト者の自覚はあるものの未だ自我が中心で、悔い改めが明確でなく、聖霊の支配への明け渡しが完全ではなかったのである。もちろん私たちは信仰を告白し、新生の恵みにあずかって直ちに知識・霊性・倫理の点で一挙に完成するわけではない。成長への一歩をスタートしたのである。しかし、その成長にはその信仰の姿勢によって大きな違いが生じてくることもまた事実である。Ⅱペテロ3:18に「イエス・キリストの恵みと知識において成長しなさい」とあるように、私たちも恵みの信仰に立ち、成長への一歩を前進して行きたい。
■本論2 肉に属する証拠 (3:3-5)
次にパウロは、コリント教会と兄姉たちの信仰がまだまだ未成熟で肉に属していることの証拠に、教会内にねたみや争いがあることを再度指摘している。神中心を見失い、自己中心化した信仰は力関係や利害関係によって成り立ち、やがてパウロ派、アポロ派と分派を造りだしていくことになる。パウロはこの現実を指摘するために、コリント教会の信徒は「ただの人のようだ」と言い切った。実は、この厳しい言葉によって彼らが目覚め、信仰によって新生した自己を回復することを願い期待したのである。エペソ4:13~16には「私たちがみな、信仰の一致と神の御子に関する知識の一致とに達し、完全なおとなになって・・しっかりと組み合わされ、結び合わされ、成長して、愛のうちに建てられるのです。」とあるが、私たちもそのようにして共に成長したいものである。
■本論3 成長させる神 (3:6-9)
最後にパウロは、教会における自分の役割を明確にし、個人と教会の信仰を成長・成熟させるのが何であるかを教える。先ず「私が植えて、アポロが水を注ぎました」と語り、自分たちが福音の種を蒔くしもべにすぎず、一派の頭ではないことを断言した。その上で「たいせつなのは、成長させてくださる神なのです」と結論付けるのである。「十字架のことば」即ち福音の種子は、信じる者の心の内で常に成長し続ける生命を中に秘めている。そして聖霊なる神が「福音の種子」を受け入れた者と教会の信仰を成長・成熟させ、結実へと導き、やがて聖化から栄化へと引き上げて下さるのである。大切なのは自己中心と独善から、神を中心にして御言葉に養われることを願う謙遜な姿勢である。私たちもその点について内省する必要がある。
■結 論
私たちと、私たちの教会が、信仰の幼子の段階から成長し、自立し、成熟していく過程を大切にしたいものである。それは神の御言葉に養われ、聖霊の力と導きによって実を結んでいくことを覚えよう。信仰生涯を貫いて礼拝を重んじる基本的姿勢に「成長させて下さる神」の御業が現されるのである。これからも恵みの信仰に立ち共に成長していこう。
■御言葉に対する応答の祈り
①自己中心から神中心の悔い改めができるよう。
②成長させて下さる神に感謝しよう。
■次回説教
聖書箇所 Ⅰコリント3:10~17
説教題 「賢い建築家のように」
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