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「信仰の生きざま」

説教ノート No.13                     2020.9.27 

聖書箇所 使徒の働き6章8節~7章60節


序 論

7人の役員が立てられた教会は、内側には組織体として整えられ、外に向かってはますます大胆に主イエスの十字架と復活を証しし、力強く福音宣教の業を押し進めて行った。それと同時に福音に対する抵抗と教会への迫害が本格化することになったが、ここにはステパノは命がけで福音の真理に固く立ち、毅然としてそれを弁明する姿が記されている。キリスト教史初の殉教者の姿である。


本論1 ステパノの姿-恵みと力に満ちて- (6:8-15)

教会に役員(執事)として立てられたステパノは「恵みと力」に満ちて教会運営の実務を担った。しかし、彼の働きはそれに留まらず「不思議としるしを行った」とあるように、主イエスが救い主であることを積極的に証しし伝道しているのである。初代教会の宣教は使徒職だけではなく信徒全員によって推進されたことが分かる。神は信じる者を聖霊に満たし、御業のために用いられるのである。ところがこのステパノに対してリベルテン(自由にされた者の意、ヘレニストユダヤ教徒)の人々から非常な迫害が始まった。彼らは執拗に議論をしかけ、挙句の果てにステパを偽証による訴え(①律法に逆らう罪、②聖なる神殿を汚す罪)で議会に引き出したのである。言わば罠にはめられたステパノであったが、驚くことに人々の前に彼の顔は御使いのように光り輝いていたと記されている。これはキリストの栄光を反射する信仰の輝きである。私たちも同じ光を放つ者となりたい。


本論2 ステパノの弁明-信仰の勇気- (7:1-53)

次に7章に入り「使徒の働き」中で最も長い説教であるステパノの弁明が記される。彼は議会の前で、第一にアブラハムに始まるイスラエルの連綿たる歴史を説明した。そこに時代を貫いて神の臨在があり、人間の手で造った幕屋や神殿に神の存在を留めることは決して出来ないと告げ、自らも神殿を汚すものではないと説明し、ユダヤ人としても信仰の良心を言明したのである。ステパノの弁明の第二は、選民を自負するユダヤ民族に対する厳しい指摘であり、律法を犯しているのは表面的な割礼に甘んじて悔い改めることをしないイスラエル自身であることという欺瞞の追求である。まさにキリストをはじめ神の預言者たちを迫害した事実が紛れもないその罪の証拠だと言い切ったのである。光輝くステパノの雄姿、実に勇気ある福音の弁明、悔い改めを迫るメッセージである。それに対して迫害者たちの態度は対照的で、律法に逆らったとステパノを訴えた彼らが「偽りの証言をしてはならない」という十戒を直接犯していることに気付いていない。ここに人間の原罪のメカニズムがある。


本論3 ステパノの殉教-主イエスを仰いで- (7:54-60)

 ステパノから主イエスを十字架に殺した罪を指摘され逆に告発されると、ユダヤ人たちの感情は怒り心頭、ついに爆発してステパノに襲いかかった。ローマ当局も黙認のうちに非合法的なリンチによって殺そうとしたのである。極めて緊張した場面であるが、ステパノは殉教の死を前に主イエスに向かって短い二つの祈りをしている。①私の霊をお受けください。②この罪を彼らに負わせないでください。これは他でもない、主イエスご自身が十字架の上で神に向けて祈られた祈りそのものである。生きるにしても、死ぬにしても、キリストの模範に倣いそれに従おうとする姿こそ真のキリスト者の生きざまである。またこのステパノの祈りの姿があってこそ、それを目撃していた迫害者サウロがやがて福音の使徒パウロに変えられるという出来事へ繋がったことも驚くべきことである。誠実かつ勇気ある信仰者の生きざまは、人々の魂に霊の感動を与え、キリストへと導くのである。


結 論

ステパノの死は決して無駄死にでも、敗北でもない。「眠りについた」と記されている。まさに平安のうちに天の御国に凱旋する勇士の姿と言えよう。私たちも「死に至るまで忠実でありなさい。」(黙示2:10)と語られた復活の主イエスの御言葉を心に刻み、聖霊の力に励まされつつ、どこまでも従って行く者でありたい。私たちも殉教者の祈りの姿を信仰の心に刻み込もう。ハレルヤ。

 

御言葉に対する応答の祈り

①死に至るまで忠実に主に従えるように。

②信仰の生きざまをもって主に従えるように。

 

次回説教

 聖書箇所 使徒8:1~40 

 説教題 「困難こそ前進の時」


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