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「知識と、愛と」

  • 2025年8月4日
  • 読了時間: 4分

説教ノート No.20                     2025.8.3


聖書箇所 コリント人への手紙第一 8章1~6節


序 論

 この8章から偶像礼拝の問題が論じられている。新約聖書の時代、古代ギリシャ・ローマ世界では様々な宗教(偶像礼拝)と社会生活全体が密接に結びついており、その中でキリスト者として信仰を貫くことは決して簡単なことではなかった。とりわけ偶像問題は避けて通れない事であり、闘いの歴史が刻まれている。現代に生きる私たちも偶像に対する洞察力と、信仰の良心に従って生きる勇気と力を得たい。


本論1 愛と、知識と (8:1-3)

 先ずパウロは、偶像問題について論じる視点を「愛」「知識」の説明からスタートさせていることに注目しよう。それはコリント教会の一部の者が、偶像にささげた肉の取り扱いについての「知識」は既に十分持っていると主張したからである。実は、そこには独善が潜んでおり、それを見抜いたパウロは「知識は人を高ぶらせ、愛は人を育てます。」(8:1-3)と釘を刺したのである。これを新改訳第三版では「知識は人を高ぶらせ、愛は人の徳を建てます」と訳している。愛の裏打ちのない知識は独善的になり、人を見下し傷つけてしまう。だから「何かを知っていると思う人がいたら、その人は、知るべきほどのことをまだ知らない」(8:2)ことを自覚せよと忠告しているのである。かつて哲人ソクラテスが「無知の知」の自覚こそ知の源泉であることを説いているが、パウロは神を愛する「愛」がその人の「知識」を意味あるものにすると教えているのである。これが論点の基礎となることを確認し、自らにも問いかけてみよう。


本論2 神についての知識 (8:4)

 次にパウロは、本論に入って偶像へのささげものの扱いについて語り、そこにある問題に鋭くメスを入れている。コリント教会のある者たちは「世の偶像の神は実際には存在せず」(8:4a)と豪語しながらそれを口実に偶像にささげた肉を平気で食べていたのである。確かにこれは正論と言えよう。確かに「唯一の神以外には神は存在しない」(8:4b)という知識も、全ての信仰告白の基礎をなすものである。しかし、自戒しなければならない大切なことは、この知識が自分の解釈、判断、そして、行為を正当化するドグマ(ご都合主義的教義)になってはならないということでる。なぜなら信仰の判断は人それぞれ多様であり、もし偶像への供え物を食することで良心が痛む人があれば、食する者が食しない者の心を傷つけることになり、それは「愛」による判断にはならない。私たちもどんなに知識を多く得たとしても、その知識による判断や行為を絶対視せず、それが他の人にどの様な影響を与えているかを問いながら、人の徳を建てるものであるかを見極めなければならない。同書13章は愛が何であるを教える私たちのチェックリストである。


本論3  存在の意味と目的 (8:5-6)

 上記のことを確認した上で、パウロは6節で信仰告白の核心を語っている。それは「父なる唯一の神がおられるだけ」「唯一の主なるイエス・キリストがおられるだけ」という表現である。唯一の神と主なるイエス・キリストを並列に置いて三位一体を告白し、この三位一体の神のもとに全てのものが存在するという壮大なものである。そして、この告白が「偶像にささげた肉」をめぐる問題解決の糸口となる。つまり全てのものが神の支配下にあるなら、食物そのものはいかなる意味でも人を汚すものではない。同様に偶像にささげられた肉にも魔術的な力がある訳ではなく、恐れを抱いて禁碑に走る必要はないというのである。キリスト者はあらゆるタブーや律法から解放された真の自由が与えられている。だからこそその自由の行使には、それによって他者が傷ついたり、つまずいたりすることがないよう心を配ることが必要になるのである。私たちは実生活の場面でどの様に判断し行動しているか、他者と向き合っているかを問い直してみよう。


結 論

 真の「知識」は恐れを廃し自由を得させる。また「愛」は人の徳を建て、人を生かすと御言葉は教えている。私たちは自分の判断や行動が、自分の独善的な「知識」によるのではなく、神の「愛」の裏付けがあるかを問うことを忘れてはならない。それには自分自身の神に対する謙遜と信仰が必要不可欠である。私たちも「知識」と「愛」を豊かにされて教会エクレシアとその交わりコイノニアを築いて行きたい。

御言葉に対する応答の祈り

①神への知識を得、愛が増し加えられるよう祈ろう。

②恐れから解放され自由が与えられたことを感謝しよう。

次回説教

 聖書箇所 Ⅰコリント8:7~13

 説教題  愛による判断」 


 
 
 

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