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「神の真実によって」

説教ノート No.1                      2024.9.1

聖書箇所 コリント人への手紙第一1章1節~9節


序 論

  ローマ人への手紙が「個人の聖化」を論ずるなら、このコリント人への手紙は「教会の聖化」、あるいは「実践的教会論」を教えていると言えよう。確かに教会は激しい世俗の波に向かって立ち、内外の問題に直面し、揺らぎを経験しつつ存立して行くのである。しかし、その経験を通して教会もキリストの似姿へと変えられ、聖化の途上を「キリストのからだ」として建て上げられるのである。希望がある。


本論1 恵みと平安が (1:1-3)

 先ずパウロは、同労者ソステネと連名で差し出し名を記している。使徒の働き18章によれば、彼はコリントのユダヤ教会堂管理者から信仰に導かれ、パウロに対するユダヤ人からの攻撃が激しくなった際、自分の身を挺してパウロを守った人物であり、いわばコリント教会の模範的存在である。パウロはこのソステネの名を挙げることで教会との一体感を強調しょうとしたのであろう。この二人が、コリント教会を「神の教会」「聖徒」と呼んで、神の恵みと平安をとりなしている。実はこの時、コリント教会は分裂分派、性的乱れ、偶像崇拝等の深刻な問題を内部に抱えて揺らぎ、教会の本質、尊厳に関わる重大な危機に直面していたのである。しかし、このパウロの言葉には非難や叱責の響きは一切無い。彼は信仰の妥協に陥っていたのだろうか。否である。パウロはコリント教会を心から愛し、希望を抱き続けていた。罪赦された罪人による信仰共同体である地上の教会は決して完全ではない。しかし、キリストがそこに生きて働かれる時、教会は聖なるものとされ、恵みと平安のうちに存立することを示そうとしたのである。


本論2 豊かな者に (1:4-7)

 次にパウロは、コリント教会に神の恵みとして与えられた「豊かさ」に感謝している。当時コリントの町は大商業都市として栄え、地上の富と肉欲を思いのままにしていた。コリンティアンという言葉が「肉欲の人」と揶揄されたほどである。しかし、教会の豊かさはそれとは全く別のものである。パウロはそれを「ことば」「知識」「すべて」における豊かさと表現している。もちろんそれは話法や学識のことではない。「ことば」は18節にある「十字架のことば」すなわち「福音」であり「知識」とはイエス・キリスト御自身とその御言葉に関する知識のことである。この豊かさが教会に満ちて来るとき教会の信仰告白は鮮明になり、世俗化の嵐にも翻弄されることなく、キリストのからだとして堅く建て上げられていく。パウロはコリント教会がこの原点に立ち返ることを願ったのである。2000年の教会史を振り返っても、教会の霊的刷新は人の権威や力にではなく聖書に立ち返ることで実現してきたこと覚えたい。


本論3 神の真実によって (1:8-9)

 最後にパウロは、コリント教会に対して二つの大きな希望について語っている。一つは終末論の視点からキリスト再臨の時に責められることがないという約束である。コリント教会内の対立と逸脱は紛れもない事実であり、悲しむべき現実であったが、神はこのコリント教会を捨て去ることなく、必ずや教会の聖化を導き、完成の時に至るまでエクレシア即ち真の教会を保持して下さるのである。大きな希望である。第二の希望は、真実な神の召しによってキリストとの交わりに入れられている事実である。人間の側の信仰は、個人も、教会も不完全であっても、それがキリストに結び合わされる時、その信仰は完成に向けて聖化の途上を着実に進むことができるのである。その根拠をパウロは「神は真実です。」(1:9)という言葉に託して宣言していると言えよう。神の側の真実によって教会は存立し続ける。「神の賜物と召命とは変わることがありません。」とローマ書11:29記されている約束の言葉に励まされることである。


結 論

 パウロの視点は、コリント教会の抱えた様々な問題、不完全な部分を指摘して非難するのではなく、教会と信仰の原点を再確認し、豊かな祝福の回復を願ったのである。教会は既に完成したキリストのみからだの側面を持ち、同時に完成を目指して聖化の途上を歩むローカルチャーチ、地域教会の両側面がある。私たちも神の家族共同体である教会を愛し、共に神の御言葉とその真実に信頼していきたい。

 

御言葉に対する応答の祈り

①教会が神によって建て上げられることの感謝。

②教会が御言葉によって整えられるように。

 

次回説教

 聖書箇所 Ⅰコリント1:10~17

 説教題  「一つとされる喜び」


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