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「開かれた扉」

説教ノート No.28                     2021.7.18

聖書箇所 使徒の働き16章16節~40節


序 論

第二回伝道旅行、マケドニアの叫びに呼応して出帆したパウロは、ピリピにおける福音の伝道を展開し、聖霊の導きによって紫布商人リディアとその家族が初穂として救いに導かれピリピ教会が誕生した。以後、パウロとピリピ教会との交わりは麗しく、彼らはパウロの働き物心共に支え、世界宣教を担う教会として成長していく。ここに福音の宣教が聖霊の御業によることを確認し、私たちも聖霊の器となって主の証しに励みたい。


本論1 利害関係の中で (16:16-24)

リディアに続いて導かれたのは「占いの霊につかれた女奴隷」であった。霊的な事柄に敏感な彼女は、パウロの言葉や行動に「聖なる神」の臨在を直感し、叫びながら彼にまとわりついたのである。しかし、パウロが主イエスの御名によって祈ると、何と彼女から汚れた占いの霊が出ていったと記されている。この事件を契機に利害関係によるパウロに対する攻撃が始まった。それは占い師である女奴隷を使って金儲けしていたその主人が商売の手だてを失ったことに怒り狂い、パウロとシラスの排斥運動を起こしたのである。その告訴内容は「ローマ人であるわたしたちが、受け入れることも行うことも許されていない風習を宣伝しております。」という反ユダヤ的偏見によるものであるが、彼らは権力者を動かし、群衆を扇動し、裁判にもかけないで二人を投獄したのである。実は福音が明確に語られるとき、それを聞く者からの抵抗や攻撃が生じることがある。しかし、私たちは全能の神に信頼し、福音そのものの力を確信し、聖霊の介在を忘れてはならない。私たちも神を畏れて人を恐れない者になりたい。


本論2  あなたも、あなたの家族も (16:25-34)

 パウロとシラスは暗い獄舎に入れられた。不当な仕打ちである。しかし、二人は驚くほど平安に満たされていた。インマヌエル。主が共におられるという事実が、恐れやいらだちから彼らを解放し、彼ら口に賛美を溢れさせたのである。私たちも困難の獄舎に置かれることがあっても、その状況だけを見て嘆き悲しんではならない。必ずやそこには神の側の意味や目的があること、また神の順序があることを決して忘れてはならない。パウロとシラスは冷たい獄舎の暗闇の中、また多くの囚人たちの聞き入る中、神を称える賛美と祈りを捧げている。その時、神の直接介入がなされることになる。何と、ピリピの地を大地震が襲い、瞬く間に獄舎は崩れ、囚人の鎖が解けてしまったのである。これに驚いた看守は囚人逃亡の責任をとって自殺しようとするが、パウロは誰一人逃げていないことを示して彼に自死を思い止まらせた。これに心動かされた看守は「救われるためには、何をしなければなりませんか」と必死にたずね、パウロは「主イエスを信じなさい。そうすれば、あなたもあなたの家族も救われます。」と明確に答えた。この問答に伝道の真髄があると言えよう。やがてその家族全員が信仰に導かれるが、神の恵みは信じる者とその家族に千代にまで及ぶのである。ハレルヤ。


本論3  神の逆転 (16:35-40)

 翌朝、投獄を命じた長官が警吏を遣わしてパウロとシラスを釈放するよう看守に命じた。おそらく告訴理由が明確でないことに責めを感じたのであろう。しかし、パウロはあえて出獄をしなかった。ローマの市民権を持つ者に不当な仕打ちをしたことを、二人を秘かに去らせることで不始末を隠そうとする長官に、自ら出向いて釈明するように要求したのである。パウロは腹いせで逆告訴し責任を取らそうとしたのではない。キリスト者の立場の正当性をピリピ当局に認めさせ、後に残していくピリピ教会の小さな群に不都合なことがないようにと配慮した判断である。ここに牧会者パウロの配慮と、物事を見通していく優れた洞察力と判断力を見ることが出来る。彼に神から与えられた賜物と言えよう。釈放された二人は早速リディアの家に行き、教会の兄弟姉妹たちを励まし、さらに伝道の旅を進めたのである。神は困難な状況をも逆転させて信じる者を助け、険しい中にも道を開いてその御業を成して下さるのである。この事実は、私たちにも大きな励ましと支えである。


結 論

 神は信じる者に奇跡をもって事を行わせる。それは単なる超常現象ではなく全能者の摂理の業と言えよう。全能の神の御心は、罪に束縛さ滅びに向かう人間が一人として滅びることなく救いに導かれることである。そのために聖霊は、障害となる重い扉を開き、福音の証し人を遣わされるのである。私たちは目前にそびえ立つ障壁を見て怖気づいてはならない。あなたの前の扉はすでに開かれている。道は開かれている。  

 

御言葉に対する応答の祈り

①神の全能に信頼し証しできるように。

②どんな時にも賛美することができるように。

 

次回説教

聖書箇所 使徒17:1~15

説教題  「それでも前へ」


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