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「教会の献身」

説教ノート No.31                     2023.11.5

聖書箇所 ローマ人への手紙12章3節~8節


序 論

 ローマ人への手紙は、12章から信仰義認の教理に基づいたキリスト者の実際の信仰生活とその実践についてパウロの論述が記されている。彼は先ず1、2節で個人的献身と礼拝について勧めた後、その視点を「教会」へと移して、キリストの教会のあり方について教えを展開する。それは私たちの信仰が「教会」において養われるのであり、教会という共同体を通して神の御業が行われるからである。ここに教会の献身を共に学ぼう。


本論1 キリストにある者の基本姿勢 (12:3)

 先ずパウロは、キリストの教会に連なる者に必要な基本姿勢について教えている。それは「慎み深く考えなさい」ということである。これは健全・建徳的な考え方を意味し、消極的で引っ込み思案な態度のことではない。しかも「信仰のはかりに応じて」と説明されているように、キリストを尺度にして、御心に共鳴しながら考え・行動すること言えよう。それは「教会」をオーケストラに類比して見るなら、楽器がその器に最もふさわしい音色を響かせている有様と同様である。これと対立的な態度は「限度を越えて思い上がる」ことであると忠告されている。一人の人物の「傲慢」な態度や言葉は、神の教会が全体で奏でる信仰の和音とその響きを壊してしまうのであり、互いに自らを戒めるべきことである。私たちの基本姿勢として、教会の徳を立てない自己主張を慎み、キリストの謙遜を模範とする「自身の謙遜」を養っていくものでありたい。そのためには、自分が正しいと思う言葉を語り行動をとるときには、他者の意見を聞き、その意味を理解しようとする意識を失ってはならない。これも日頃から神の言葉に聴くことへの努力から生じるものである。


本論2  教会の一体性(12:4-5)

 次にパウロは、教会が一体であることを「からだ」を例にして教える。現代の経営学者も理想的な組織とは人間のからだのように機能する組織体であると論じているが、教会はまさにキリストをかしらとする「キリストのからだ」そのものである。そして、ここには三つの重要点が示されている。①からだは一つである教会の唯一性。本来キリストのからだなる教会は一つであり分裂や混乱はない。この理解には整理が必要である。教会には「可見的教会、地域教会(ローカルチャーチ)」と「不可見的教会、世界教会(ユニバーサルチャーチ)」の二側面があり、地上における組織としての教会は未だ不完全であっても、天上の教会は既にキリストのからだなる教会として完成しているという理解であり、ここに誤解や混乱があってはならない。②肢体は多様性を持ち、働きは各々異なる。③肢体は相互依存の関係にある。お互いに補い合い、生かし合う結び付きである。エペソ4:16では「キリストによって、からだ全体は、あらゆる節々を支えとして組み合わされ、つなぎ合わされ、それぞれの部分がその分に応じて働くことにより成長して、愛のうちに建てられることになります。」と表現している。ここに私たちは教会の本質を見出すものであり、私たちもキリストにある一体性を大切にするものでありたい。


本論3 教会の多様性 (12:5-8)

 最後にパウロは、教会の多様性について教えている。前節では、教会の本質を「からだ」とその「器官」という言葉で表現し、教会をキリストのからだとして説明してきたが、続いて教会の多様性を「賜物」という表現に変えて具体的にリストアップしている。教会に連なる私たち一人一人には、神からの恵みによって個別の「賜物」が与えられている。これは単なる能力・才能のことではなく、新生の後に聖霊によって整えられ発揮される能力のことである。そして、それはキリストの教会においてキリスト者として実践されるものである。6節以降を見ると、その種類は実に多様で、①預言の賜物:神の言葉を語る働き。②奉仕の賜物:経済的援助を含む世話。③教える賜物:信仰の実際生活の指導。④勧めの賜物:困難に直面した人を慰め励ます働き。⑤分け与える賜物:愛による寄付をする働き。⑥指導の賜物:先頭に立って教会に仕える働き。⑥慈善の賜物:文字どおりの意味。教会にはこのように数多くの賜物が備えられており、それが互いに機能してキリストの御心を実現していくのである。私たちは、自分自身に与えられている賜物を知り、また互い補い合うことを必要としていることを覚えよう。


結 論

 私たちに与えられている神からの賜物を、互いに生かし合い補い合って、かしらなるキリストに仕える時、教会の献身がスタートしていく。そして、教会はキリストの体として一つに結び合わされ、外に向かって十字架の福音を輝かせていくことが出来る。私たちは再度、自分の賜物を知りそれを感謝して神に献げているか、また他の人を生かすためにそれを用いているだろうかと自問してみよう。ハレルヤ。

 

御言葉に対する応答の祈り

①傲慢を警戒し慎み深い判断が出来るように。

②自分の賜物を知り、神と人のために用いれるように。

 

次回説教

 聖書箇所 ローマ12:9~21

 説教題 「愛には偽りなし」


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