「最も大切なこと」
説教ノート No.33 2026.5.31 聖書箇所 コリント人への手紙 第一 15章1~11節 ■序 論 1れまで御霊の賜物について語ってきたパウロは、この15章において信仰の基盤である「福音」そのものについて混乱の渦中にあるコリント教会に再確認させようとして筆を進めている。地上の教会は時として組織疲労し、個人の信仰も揺らぐことがある。聖化の途上にあって避けられないことでもろう。だからこそ私たちは常に変わることのない基本に戻り、土台となるところを堅くするものでありたい。 ■本論1 福音によって (15:1-2) 先ずパウロは、コリント教会に「私があなたがたに宣べ伝えた福音を、改めて知らせます。」(15:1)と呼びかけている。しかも3節ではこの「福音」を最も大切なこととして位置付けていることに注目しよう。パウロは「改めて知らせる」と記しているが、コリント教会が最初に聞いた「福音」と些かも異なるものではなく、既に彼らが信じてきたものである。「福音」は「良き知らせ」であり、それは決して変わることのない神の側
「平和と、秩序と」
説教ノート No.32 2026.5.3 聖書箇所 コリント人への手紙 第一 14章20~40節 ■序 論 14章後半、パウロはコリント教会の礼拝と兄弟姉妹たちの信仰生活が生き生きとして豊かなものとなるよう願いさらに筆を進めている。具体的には、異言と預言とを対比させながら、異言の限界と預言の必要性を説明し、神が備え与えて下さる御霊の賜物が自己主張のためではなく、あくまで教会の徳を高めるために機能すべきことを重ねて教えている。私たちも自身に与えられている賜物を見極め互いに生かす者となろう。 ■本論1 大人の考え方を (14:20-26) 段落冒頭、先ずパウロは「考え方においては・・・大人になりなさい(20節)」と勧めている。それはコリント教会の人間関係において、恵みによって与えられた御霊の賜物を、他人と比べて自分を誇る道具にしていたからである。そのことが顕著なのが「異言」に対する考え方とそのあり様であった。つまり人前で他の人には理解できない言語で語ることが彼らにとって優越感を満足させる道具になっていたの
「徳を高めるために」
説教ノート No.31 2026.3.22 聖書箇所 コリント人への手紙 第一 14章1~19節 ■ 序 論 これまで12章では御霊の 賜物の多様性とその一致・一体性 についての教え、そして、続く13章においてその裏付けとなる 愛の重要性 について具体的に解き明かされてきた。この14章に入ってコリント教会における課題であった 「異言」 と 「預言」 の混乱に対して的確な回答がなされている。その中心的な考え方は 「徳を高めるため」 ということであるが、これこそキリストの教会が成長・成熟に向かうための要と言えよう。私たちの大切な確認としよう。 ■ 本論1 異言と預言をめぐって (14:1-6) 先ずパウロは14章冒頭で 「愛を追い求めなさい」(1節) と語り前13章全体の結論を結び付けている。これは今後における14章の展開の基盤であると言えよう。この 「愛」 を基礎として御霊の賜物はそれぞれ豊かな役割を果たし教会の一体性を形作るのである。ここに教会の本質的姿が明確に表現されており、また私たちが意識し
「愛に育まれ」
説教ノート No.30 2026.3.8 聖書箇所 コリント人への手紙 第一 13章1~13節 ■ 序 論 パウロは12章において賜物の多様性と一体性について論じつつ、さらに 「よりすぐれた賜物を熱心に求めなさい(31節)」 と語った。この 「よりすぐれた賜物」 とは何か。それをこの13章において明確に解き明かし、それが 「愛」 であること指し示し、愛こそ全ての賜物を真に生かす原動力であり、愛がなければ全てのものが根本的に意味を失ってしまうことを教えている。これを教会を意識しながら考えてみよう。 ■ 本論1 愛に育まれー愛の裏付けー (13:1-3) パウロは先ず、12章において提示した 「御霊の賜物」 のいずれのものを与えられていたとしても、そこに愛がなければその賜物は無に等しいと声を大にして強調している。たとえ異言の賜物で語ってもそこに愛の裏付けがなければ、礼拝者を興奮させるために用いた異教神殿のシンバルと同じであり、預言、奥義、知識、信仰という優れた賜物があっても、やはり愛がなければ何の値
「キリストのからだとして」
説教ノート No.29 2026.3.1 聖書箇所 コリント人への手紙 第一 12章12~31節 ■ 序 論 前段落において、教会に与えられた御霊の賜物には 「同じ一つの御霊」 による統一性があり、キリストのからだである教会に連なる一人ひとりには 多様な御霊の賜物 が与えられていることを学んだ。続いてパウロは、教会の本質である 「多様性」 と 「統一性(一体性)」 についてさらに掘り下げて詳細な説明を加えている。キリストの教会が 「キリストのからだ」 として機能するために何が必要かを私たちも学ぼう。 ■ 本論1 多様性における一致 (12:12-17) 先ずパウロは最も有機的な組織体である人間の身体、即ち 「からだ」 の概念を用いて教会の本質を語り、一つのからだでありながそこには多くの部分があり、多くの部分があっても一つからだであると説明している。その意図は、コリント教会に連なる兄弟姉妹は互いにそれぞれの賜物を重んじ合い、一致して生きるようにとのチャレンジであった。同教会には使徒の優劣をあげつ
「御霊の賜物」
説教ノート No.28 2026.1.25 聖書箇所 コリント人への手紙 第一 12章1~11節 ■ 序 論 パウロは前章において、礼拝の回復すなわち聖餐の再生についてコリント教会に対して切々と語った。さらにこの12章から、キリスト者の教会共同体における信仰生活のために、神が一人ひとりに与え備えられている 「御霊の賜物」 ついて教えている。キリストの教会が有機的に結び合わされ、キリストのからだとして神の栄光を現すために、神が私たちに豊かな、多様な賜物を与えておられることを確認し、感謝しよう。 ■ 本論1 聖霊によって (12:1-3) 先ず、パウロは 「御霊の賜物 (1節) 」 について論じる前に二つの大切な前提を確認している。それは第一に、救いを受ける前に仕えていた偶像は死せる神であり、その神々に賜物を求めながら何も受けられなかという事実。第二は賜物を豊かに与える御霊を自分自身にどのように認識するかということであり、それが 「聖霊によるのでなければ、だれでも『イエスは主です』と言うことはできま
「主の聖餐の奥義」
説教ノート No.27 2026.1.11 聖書箇所 コリント人への手紙 第一 11章17~34節 ■ 序 論 前段落において、パウロは礼拝の姿勢が表面的な装飾に価値があるのではなく、謙遜という心の中の隠れた人柄を飾りとして神の前に出ることが真の礼拝者の姿であることを教えた。そして、さらに礼拝における聖餐の奥義について語ることで礼拝の祝福を教えようとしている。私たちの信仰生活が祝福され、いつも救いの喜びを新鮮にして聖化の道程を踏みゆくことが出来るよう、その内容をしっかり聴き取ろう。 ■ 本論1 コリント教会の現実 (11:17-20) 先ずパウロは、コリント教会における礼拝の混乱、特に聖餐の問題についてその現実を明らかにしている。彼は 「あなたがたが教会に集まる際、あなたがたの間に分裂があると聞いています。」 (18節)と指摘しているが、これは先に触れた党派心からくる組織の分裂分派のことではなく、教会内の富める者と貧しい者の間に生じた聖餐における混乱のことであった。当時の「主の聖餐」は普通の食事